電線サイズの選び方:日本の配線条件と電圧降下
直径mmと断面積mm²を区別する
単線の「直径2.0mm」と、より線などの「公称断面積2.0mm²」は同じサイズではありません。円形単線の幾何学的断面積は A = πd²/4 なので、直径2.0mmなら約3.14mm²です。これは寸法の計算であり、認証された線種・許容電流・接続端子を相互に置き換える根拠ではありません。発注や図面では、VVF、IV、CVなどの線種、単線かより線か、心数、直径か公称断面積かまで記録してください。
日本の施工に使う資料と、計算機の範囲
日本の施工では、経済産業省の電気設備の技術基準・解釈の公開資料と、適用する内線規程、機器・電線メーカーの資料を確認します。省令・その解釈・民間規程は同じ文書ではありません。現場に適用する版と、該当する設備・施工方法を区別して照合してください。
当サイトの電線サイズ計算機は、日本語表示でもNEC Table 310.16の参考列とAWGサイズを使う見積りツールです。日本のVVF/IV/CVの許容電流表や施工規定を実装した判定ではありません。日本の図面や施工に使うサイズは、該当する国内製品表で確認します。AWGからmm²への換算は寸法比較に使い、許容電流の代用にしないでください。
選定前に集める入力
| 入力 | 確認する内容 |
|---|---|
| 負荷 | 定格電流、電圧、相数、力率、連続運転、始動電流 |
| 電線・ケーブル | 線種、導体材料、絶縁、心数、単線/より線、直径/公称断面積 |
| 施工条件 | 管内・露出・ラックなどの布設、周囲温度、集合状態 |
| 回路 | 片道距離、保護装置、接続端子、接地、機器メーカーの指定 |
| 電圧降下 | 配線方式、導体交流抵抗R、リアクタンスX、許容する電圧降下の根拠 |
同じ断面積でも線種・心数・布設・温度条件で許容電流が変わります。メーカー表の前提条件まで一致させて比較し、表にない条件はメーカーの補正資料で確認します。本ページでは、条件が確認できない旧来の汎用許容電流表を選定根拠として掲載しません。
200V三相回路の電圧降下:メーカーの計算例
フジクラ・ダイヤケーブルの技術資料に掲載された計算例を再計算します。これはメーカーの説明用の例であり、このケーブルの採用を指示するものではありません。
- 三相3線式、線間電圧200V、負荷電流40A
- 片道線路長100m = 0.1km、50Hz、力率cosθ = 0.85、sinθ ≈ 0.526
- 600V CVT 3C×38mm²、R = 0.626Ω/km、X = 0.0955Ω/km(同資料の条件)
Z = Rcosθ + Xsinθ
= 0.626 × 0.85 + 0.0955 × 0.526 ≈ 0.5823Ω/km
ΔV = √3 × I × L × Z
= √3 × 40 × 0.1 × 0.5823 ≈ 4.03V
電圧降下率 = 4.03 ÷ 200 × 100 ≈ 2.02%
メーカーは丸めて4.0V、約2.0%と示しています。三相線間の係数は√3であり、単相2線式の往復係数2を使いません。距離は片道のまま式に入れます。この結果だけでは許容電流や保護装置の適合は判断できません。
結果を使って次に確認すること
- この例を別の回路へ応用する場合は、まず相数・配線方式・電圧・実測または設計負荷電流・片道距離を置き換えます。
- 採用候補の線種・サイズ・布設・周波数に対応するRとXをメーカー表から取得します。例の38mm²の値を別サイズへ流用しません。
- 力率を入れて電圧降下を再計算し、回路に適用される許容値と比較します。日本の全回路に「分岐3%、合計5%」を一律適用しません。上記メーカー資料は供給方式と線路長で条件を分けています。
- 許容電流、保護装置、端子、始動時の電圧、機器の使用可能電圧も別途確認し、選定表に記録します。
20Aの回路を検討するとき
「2.0」とだけ書かれた記録なら、最初に単位と線種を確定します。直径2.0mmの単線か、公称2.0mm²のより線かを識別し、該当する製品・施工条件の許容電流表、回路と保護装置の要件を照合してください。ブレーカーの20A表示だけで電線が使用可能とは判断できず、逆に単位も条件も不明なまま使用不可と断定することもできません。
関連する計算
- 電圧降下計算機:入力単位と配線方式を確認して予備比較
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